「今はこういうパンが流行っているから、トレンドに合わせて新商品を開発しよう」
——パン屋を始めた頃は、私もよくそう考えていました。
もちろん商売としては間違っていないし、市場リサーチって大事ですよね。
でも、実際に作ってみてもしっくり来ないことが多々あったんです。
試作はうまくいくのに、いざお店に並べると自分の情熱が入っていないせいか、お客さまの反応もいまひとつ。
売れないわけじゃないけど、「これでいいのかな」という違和感が残るんです。

ある日、「もうちょっと自分の好きなように作ってみよう」と思い立ったんです。
確かに市場の情報やトレンドは無視できません。
でも、それだけに振り回されていると自分のパン屋であるはずなのに、自分らしさが見えなくなってくる。
私がパンを好きになったのは、ただ「国産小麦のパンが美味しい」「お客さまがパンを見て喜んでいる姿が嬉しい」という純粋な気持ちからでした。
それを思い出してから、自分が本当に好きだったレシピをもとに、作りたいパンを作ってみたんです。
素材選びから焼き方、パンの形に至るまで自分の「好き」を散りばめたら、なんだか不思議な集中力が湧いてきました。

そうして改めて「自分の好き」に向き合ったとき、自家製のカスタードやカレーのフィリングにも力を入れ始めたんです。
よくパン屋では既製品のカスタードを使用しますが、正直常温で日持ちしてしまうカスタードはお店では使いたくありませんでした。
当店のカスタードは、新鮮な卵をふんだんに使い、牛乳と粗糖で優しく炊き上げるのがポイント。
焦がさないように木べらでかき混ぜながら、とろりとした食感になるまでじっくり火を通します。
カレーのフィリングは玉ねぎをしっかり飴色になるまで炒めるところからスタート。
そこへスパイスを加えて風味を引き立てると、スパイスとお肉の旨みが溶け込んだ、コクのあるカレーができあがるんです。
どちらも手間ひまはかかるけど、作っている間は「もっと美味しくしたい」という気持ちが勝手に湧いてきて、つい時間を忘れてしまいます。

実際にお店に並べてみると、クリームぱんやカレーぱんは「こういうのが食べたかった」と喜んでくださるお客さまが増えてきました。
流行りのパンではないのに「この優しい甘さと香りがたまらない」「子どももこのパンだとよく食べてくれる」といった声をいただくと、こちらまで嬉しくなります。
誰かに言われなくても「もっと味を良くしたい」「次はこんなアレンジを試してみたい」というアイデアが、いくらでも湧いてくるんですよね。
まるで子どもが遊びに夢中になるみたいに。笑

もちろん商売だから、数字はとても大切ですし、ちゃんと利益を出さなければ続けていけません。
でも、ビジネスの計画を立てるときに「やらされている」と感じると、どこかで息切れしてしまう。
逆に、自分の内側から「やりたい!」「好き!」と思えることなら、多少の苦労も自然と乗り越えられる気がします。
そんな思いで、これからも“ひとぱん工房”を私らしく切り盛りしていきたいです。⁡


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71 いいね! ('25/03/29 10:01 時点)