『ご冥福をお祈りいたします』

著名人が亡くなった時にテレビでもよく耳にしませんか?

あまりに一般的になりすぎていて「どこがおかしいの?」と思われるのではないでしょうか?

実は冥福とは、冥途での幸福のことをいいます。

また冥途とは『死者の霊魂が行く暗黒な世界』という意味です。

暗黒って言われると地獄のような不気味な世界に思えませんか?

そのような場所での幸せを祈られても・・・ありがたく感じられないと思います。

ご自分の大事な人がそのようなところにいくとしたら嫌ですよね。

特に浄土真宗や神道、キリスト教の葬儀の際では、本来使ってはいけない言葉なのです。

ではどう言えばいいのか?

多くの葬儀マナー本などでは『心より』や『謹んで』お悔やみ申し上げます。と挨拶しましょう!と書いてありますよね。

これは電報を送ったりする時の書き言葉だと思ってください。


では実際直接ご挨拶をする際はどう言ったらいいのか?

『このたびはご愁傷様でございます』

『このたびはお悔やみ申し上げます』だけでいいのです。


もしご遺族があなたのことが分からなくても、『会社でお世話になりました小林です』『草野球でご一緒させていただいた小林です』など自己紹介をつけ加えるといいと思います。

ご遺族はマナー本通りの挨拶より故人様とあなたとの色々な話がしたいし、聞きたいのです。

知識としては知っていて損をすることはありませんが、気持ちが伝わるのはマナー本通りのありきたりの対応ではないのです。

以前の葬儀は『義理』『付き合い』で参列するケースもありましたが、近年では故人様と関係の深い方だけが参列をするお葬式が増えているので自然体で『気持ちが伝わる』ことを大切だと思います。

余談ですが、受付でマナー本挨拶をされている方を時々見かけますが、受付係をやっている方はご身内でないケースが多いので、対応に困ったという話をよく聞きます。



『あれ?もらった会葬御礼に塩がついてない!』

お通夜に参列をした時に会葬御礼にお塩がついていなかったことってありませんか?

最近では『死は穢(けが)れではないので、浄土真宗では清め塩を使いません』と書かれた紙をご覧になった方もいるのではないかと思います。

一般的にお通夜でお焼香の後にお寿司などを召し上がっていただく場所を『お清め所』と呼ぶのですが、浄土真宗の際は『お斎所』と案内を出します。

お斎は『おとき』と読み、仏教の法要後の会食のことを指します。

浄土真宗以外の時にも『お斎』は使えますが、『お清め』という言葉が広く認知されているので、浄土真宗以外ではあまり使われることはありません。


穢(けが)れている(汚(けが)れている)から清める必要があるというのは理解できますが、誰しも自分の大事な人がけがれているとは思っていないと思います。

ただ一般的に『清め塩』『お清め』という言葉は広く認知されており、清め塩のないお葬式はあまりご縁がないのではないでしょうか?

お寺さんに挨拶の連絡をする時に『塩は絶対にダメ』と先に言われることもありますし、『参列される全員が浄土真宗ではないですからね』とおっしゃってくださることもあります。


ちなみに仏教式ではお斎、神道では直会(なおらい)と言います。

葬儀とは地域文化であり、各宗派、例え同じ宗派であっても各寺院によって葬送方法は異なります。

毎回変わると言っても過言ではないのですが、葬儀社として参列される方にもっと知っていただく努力が必要だと痛感しています。




著:一級葬祭ディレクター 小林大悟


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