お釈迦さまが勧める友達の条件

 

「犀の角」では、友達が多いと煩いが増える。煩いが多いと日常生活にゆとりがなくなる。いっそ友達なんかなくして独りで生きなさい。と説きます。幾度となく「ひとりでいきろ」「ひとりでいきろ」と出てくるお経なのですが、2か所だけ「こんな人と出会ったら、あらゆる困難に打ち勝って、その人と共に歩め」と説く箇所があります。いわば、お釈迦さまが勧める友達の条件、のようなものなのです。


「もしも汝が、<賢明で協同し行儀正しい明敏な同伴者>を得たならば、あらゆる危難にうち勝ち、こころ喜び、気をおちつかせて、かれとともに歩め。」


お釈迦様の勧める友達の条件で最初にくるのが、「賢明であること」です。賢明とはその人と一緒にいれば自分が大きく成長できる、自分が学ぶことができる、尊敬ができる、他人の言葉を真摯に受け取る素直さを兼ね備えている人、ということです。次に、「協同できること」。一緒に仕事やビジネス、ひとつのことを成し遂げることができそうなこと。志が同じである、ということです。次に「行儀正しいこと」粗暴な振る舞いや暴力的な行為、荒々し言葉を使わず、指摘するところは指摘しますが決して人格否定などはしない、ということ。最後に「明敏なこと」。明敏は頭の動きが速いことです。


年の上下や趣味や性別や場所など、あらゆる隔たりを経ても、この人といると学べる、この人といると自分が高められる、そんな人と共に生きなさい、とかかれています。


今の私も友達は少ないですが、心から尊敬する人間はいまも付き合っています。そういう人と会うまではむしろ一人でいい。積極的に一人でいることはなにも恥ずかしくはありません。友達なんていなくても大丈夫です。そして心から尊敬できる人間は、そう現れません。


そんな風に感じながら暮らしてみるのもよいかと思います。


(終)


足立信行