先日、ある男性のお葬式を担当いたしました。男性は84歳。死後1週間は経過していたそうです。ここ最近、男性の奥様は認知症と診断され施設に入居していたため、男性はお一人暮らしだったそうです。その為という訳ではございませんが、お亡くなりになってから1週間経ってからの発見となってしまったのだそうです。

 

ここで、多くの方は「お子さんたちはいなかったのか?」となりそうですが、今回、喪主を務めたのは一人娘のご長女様でした。「お子さんがいるのに何故こうなってしまったの?」という言葉を言ってしまいがちですが、今回のブログを読んでいくといろいろなところで起こり得るお話だと気付かされます。

 

喪主を務めたご長女様は、現在、夫の仕事の関係で福岡県に住んでいるのだそうです。そして、このコロナ禍でなかなかご両親の様子を見に行くことが出来ずに、1週間に1度のペースで電話をしていたそうです。また、叔母にあたるお父様の妹さんに様子を見に行ってもらうなどをしていたそうです。

 

とは言え、叔母様も80歳なので、そう簡単には様子を見に行き、父のお世話をするという事が出来ないので、あまり積極的にお願いできないでいたそうです。だから、本音は心配なのですが、電話をかけると「そんなに電話してくるな!!」と剣幕に言われることもたびたびあったようで、父の異変には気付かずにいたそうです。

 

ご長女様は、お父様が亡くなったという知らせの2年くらい前に、実は、お母様の異変には気付きすぐに対処しておりました。何があったかというと、電話をかけてきた時の様子、言っているお話など、とても心配になる内容だったので一度帰省をしようと決心しました。

 

コロナ禍で簡単には帰省できない中で、お父様からも「感染が怖いから帰ってこなくていいよ」と言われたのですが、何だかいつもとは違う何かを察知して帰省を決意しました。冷蔵庫の中身は賞味期限が切れたものばかりで、ほとんどご飯も食べなくなり、お風呂にも入らない日も続き、悲しいことにお母様の認知症になっているのでは?と、認知症の専門病院にお母様を受診させたそうです。

 

受診の後に、お父様と介護関係者と相談を重ね、お母様を高齢者施設に入居させることができそうだという事で少し安心しましたが、それでも、お父様のことよりもお母様のことが気がかりでお父様は勝手に何も問題ないと思い込んでしまい、気に掛けることもできていなかったそうです。

 

もちろん、頭の中ではお母様が一段落したらお父様についての事も考えていかないと、という気持ちがあったのですが、離れて暮らしているし、電話をかけても「大丈夫」という言葉を信じてしまい「父には何もしてあげられなかった・・・」と涙ながらに後悔している思いを語ってくれました。

 

認知症のお母様は、はたしてお父様がお亡くなりになった事を理解しているのかどうかはわかりませんが、お葬式に参列はしました。しかし、出棺が終わった後にはすぐに施設に戻ってしまいました。

 

この後、ご長女様はひとりでお葬式の後の手続きをすることになるのですが、後編にて葬儀後のお話しを書きたいと思います。

 

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著:一級葬祭ディレクター 小林大悟