ソーシャルビジネスコミュニティ『ワクセル』(主催:嶋村吉洋)が定期的に開催している経営者対談。
今回は、「居酒屋から日本を元気にする」ことを目指す「てっぺん」を設立した大嶋啓介氏と、投資家であり映画プロデューサーの嶋村吉洋氏が、これからのビジネスに求められるマインドやコミュニケーションの取り方について、語り合った。
100回目まで諦めない。人とコラボレートをする心構え
ーーーワクセル司会:てっぺんといえば「朝礼」、大嶋さんといえば「予祝」と、実際に体験をさせていただきましたが、大嶋さんにとって、今に至るまでのきっかけになった方はいらっしゃるんですか?
(参考動画:ワクセル公式チャンネル:てっぺんの現社長和田様のインタビューの際、朝礼を体験させていただきました)
【日本一明るい居酒屋!】明るく元気に人が成長する秘訣とは!?【和田裕直✕ワクセル】~前編~
大嶋さん(以下、大嶋):はい、いますね。中でも福島さんという方との出会いが、自分の人間力を鍛える大きなきっかけになりました。
経営が波に乗り始めてくると、仲間の人間関係で少し歪みが出たりしていました。その際、「どうしてもわかり合えない仲間がいたり、ついには仲間同士の陰口を言い始めるような状態が起きたらどうしていますか?」と福島さんに質問をさせていただいたんです。「興奮するね」福島さんはそうおっしゃりました。僕はその言葉に衝撃を受けたことを今でも覚えています。「ゴールは、最高の関係になりたいのか、もしくは切りたいのか、この2択であり、その目的に沿って自分が動いていくことなんだよ」と教わりました。
正直その答えを聞いて僕は、「綺麗事じゃないですか、福島さん、それ」と返してしまったんです。それに対し福島さんは、「いい質問をしてくれたね、大嶋さん。そう、綺麗事を言うとね、綺麗なことが起こるんだよ。ぜんぶ言霊だからね。わかり合えない人はいないんだよ。まだ、わかっていないだけなんだ、お互いを。100回コミュニケーションを取れば、必ず見えてくる。」と僕に教えてくれたんです。とても衝撃でしたね。
僕自身、もちろん自分もすれ違う人全ての人と仲良くなりたいとは思っていません。しかし、一緒に走る仲間は家族のように大事にしていきたいと思っています。ちなみに福島さんは、「72回目でやっとわかり合えたことがある。」と仰っていました。僕もまだまだ辛抱が必要だなと思います。
「和田は自分で気づく、こいつなら必ず乗り越える」
仲間を褒め、信じる経営
ーーーワクセル司会:以前ワクセル公式チャンネルの取材で、現社長の和田様のお話を伺い、とても情熱的な方だと感じました。
参考動画:【自分が変わり会社が変わる!?】7年で「てっぺん」に登ったリーダーの誓いと夢【和田裕直✕ワクセル】~中編~
大嶋:和田社長のことを社員全員が「本当に最高な社長だ」とみんな口を揃えて言います。彼は、人間力が高く、彼の生き様にはみんなが惹かれています。
そんな和田は、いつも感謝することを大事にしていて、僕がその場にいない時も、「大嶋さんは・・」と語り、担いでくれるんです。そんな和田だから、社員にどんどん担がれ、ステップアップしていくのだと思います。
ただそんな彼も、2年目までは今と違い、とがっていましたね。お店の経営のNo2やNo3から「もう和田さんにはついていけない」なんて、僕に相談がくることもありました。 僕は、「和田は自分で気づく、こいつなら必ず乗り越える」と信じていたので、社員には「自分で直接話してみたらどうかな」と伝えていました。
結果、仲間と直接の会話を通して、和田は「自分が変わらねばならない」と、気づいていきました。そこからの彼の変化の角度がすごく、進化していったのだと思います。
嶋村:そのお気持ちよくわかります。結果の原因は、他人ではなく自分の中にあると私も学んできましたが、まさに和田社長が体現されていますね。そして、大嶋さんご自身も、いつも仲間のことを褒めていらっしゃいますね。
大嶋:そう言っていただき嬉しいです。あ…最近は一部の部門の方を褒めずにいたな・・。声をかけに行かないとな。
嶋村:結果には原因がある。その原因を変える覚悟が必要ですよね。同時にボクもいつも自分自身を振り返ります。自浄作用が必要だなと。いい大人になると、誰かが言ってくれることも少なくなるので。でも、やっぱり褒めることで、本人が気づいていくことも大事ですよね。
言動一致を心がけ、常に自分を磨く 自浄作用を持つ
嶋村:言っていることとやっていることを一致させることは、とても大切ですよね。怠ると、組織は近いところから崩れてしまう。やらないなら、言わない方がまだマシだと思っています。
そのため、ボクは常に自浄作用を持つことを心がけています。
松下幸之助さんのお話を何かで読んだのですが、ご自身の引退会見を、帰宅後に自宅で見たそうです。そこに映っていた年老いた自分を見て、「こんなになるまで、この椅子にしがみついて居てしまったのか」と思ったそうです。松下さんほどの方でも気づくのが難しいのであれば、自分達はより気をつけていかねばならないと思いました。
また、必要とされる存在であるために、自分にも周りにも正直でいること。
年齢を重ねると話す力やスピーチ力は上達しますが、実践をしていない、その道を生きていない人は、現場で汗をかいている人には、わかってしまいますからね。
結果を出し続けるためには今のポジションにあぐらをかかず、いつも自分を磨き、言っていることとやっていることを一致させる。仲間に「この人言ったことやるよな」っていう背中を見せること。
そうしているうちに結果を出し続ける文化ができるのかなと思います。そして、70までは現場に居て、引退間際まで自分を磨き続けます。
「心のあり方で」自分をワクワクさせ続ける
大嶋:メンタルトレーナーということもあり、常に自分自身のメンタル管理の優先順位は高いですね。心の状態を良いエネルギーにすることを大事にしています。
僕を通して、今まで気づいていなかった人にも「心のあり方」が一番大事だと気づいてもらえたら嬉しい。ご機嫌力・ワクワクすること。サービス業は特に、店舗の空気が大事なので、スタッフによってだいぶ変わります。なのでワクワクすることや、感謝が大事だと常に伝えています。
僕自身が取り組んでいるのは、「早起き」です。
朝日を浴びて、散歩をする、よく噛んで食べる。これを大事にしてます。セロトニンを出すんです。
ワクワクには3つ含まれます。[愛・感謝][幸せだなぁと感じること][ワクワクする夢をもつやる気ホルモン]そして、大事な人と愛している、大切だということを伝え合う。
成功している人の共通点で、心のあり方が、ワクワクと感謝で溢れていることだと思います。夢でワクワクしていること。常に感謝をしていること。これにつきるかと思います。
これからチャレンジをする方へのメッセージ
「学び続けること」
嶋村:スポーツもビジネスも同じ、学ぶことがまず、大事ですよね。
大嶋:そうですね。とにかくうまくいかない経験をたくさんし、そこから学んで欲しい。そして、メンターを見つけることですね。
嶋村:同時に、「学ぶ環境・土壌」が大事だと思っています。効果のある学ぶ環境・土壌でまずは3年やったらいいと思うんです。アスファルトに種を蒔いても花は咲きにくい。しっかりと肥えた土壌で、育てていくことが大事なんです。だから学ぶ環境が大事だと思っています。
大嶋:仰る通り「仲間と学び合える環境」が大事ですね。
嶋村:実は3年というより、本当は10年だなとも思っています。僕の父は建築の仕事をしていたのですが、3年ではまだまだで、「10年まずやれ、わかってくるから」と言われていました。もちろん職人の技は「見て盗めと言われ、手取り足取り教えてもらえるものではありません。
しかし10年経つと「この壁に合う木材はこれだ」と瞬時にわかってくる。はたから見たらそんなに違いがわからないけど、10年やっているとすぐに気づけていきます。
3年経ってやっと周りが見えてきて、10年経って本当に全体の流れが見えてくるのだと思い、僕は10代の頃から30年間、コラボレートを通じて事業を拡張することを徹底してきました。
世の中には、職人とアーティストがいると思っています。職人はとことん質の良いものを、正確に速くつくり続ける存在。アーティストは、そこにアイデアなどを加えて彩らせていく、飽きが来させないようにする存在。大嶋さんはその両方をお持ちだと思う。時代の変化とともに、軸は変わらないが、結果を残すために必要な変化をさせているから飽きが来ない。
つまり、常に過去の自分を超えていくことが必要ですね。
<大嶋啓介氏 プロフィール>
1974年、三重県桑名市生まれ。2004年、居酒屋から日本を元気にすることを目的に居酒屋 「てっぺん」を設立。てっぺん独自の「公開朝礼」がテレビや雑誌等で取り上げられ、話題となり、日本国内だけでなく韓国や台湾など、海外からも多くの方が「本気の朝礼」を見学に訪れている。年間に約1万人もの方が「てっぺん」に朝礼見学に訪れる。中学生や高校生が、修学旅行で朝礼の体験に来るようにもなっている。2006年には居酒屋業界全体の活性化を目的に、NPO法人居酒屋甲子園を立ち上げ、初代理事長を務める。2007年には、外食産業に最も影響を与えた人に贈られる「外食アワード」を受賞する。「日本中に夢を広めたい」という熱い念いで企業・学校など全国で講演活動にも励み、活躍の場を大きく広げている。また、北京オリンピックでは、女子のソフトボールのチームに、朝礼研修をおこない金メダルに貢献する。2014年より自身の学びを多くの人に伝えたいという想いのもと「人間力大學」を開校する。スポーツのメンタルにも力を入れており高校野球界では、菊池雄星選手・大谷翔平選手の母校である花巻東高校も取り入れるなど2015~2017年にかけ30校にチーム強化研修をおこない、福島県の聖光学院や、長崎の海星高校など、9校が甲子園に出場。また、高校サッカーでは國學院久我山が全国準優勝を果たす。企業講演だけでなく、学校講演を中心に、日本中の子どもたちに夢を与えたいという思いで、全国に活動している。
<嶋村吉洋 プロフィール>
父親が富裕層を顧客に持つ建築関係の仕事だったこともあり、幼少期から地元の資産家、経営者や投資家に囲まれて育ち、その影響で10代で起業し、まずはイベント事業・人材育成事業を立ち上げ、その後に不動産事業やロボティクス事業、映画プロデュースなど、多事業展開をしている。
社会課題やSDGsにも強い関心があり、主催しているソーシャルビジネスコミュニティ『ワクセル』では、WorldShift宣言やアースデイへの取り組みも積極的に実施。ワクセルの活動を通し、人と人とがコラボレートすることにより、世の中に夢を与える続けることを目指している。
ワクセル主催者