
【略歴】
2013年 埼玉医大医学部卒業
2015年 名古屋記念病院初期研修医修了、東邦大学医療センター大森病院にて泌尿器科後期研修を開始。
その後関連病院などに出向し、内視鏡手術を中心に研鑽を積んだ後、地域医療に携わる。
2023年より東京北部病院に赴任し、泌尿器科専門診療を開始している。
【資格】
日本泌尿器科学会認定専門医
日本坑加齢学会専門医
日本メンズヘルス学会所属
テストステロン治療認定医
前立腺肥大症とはどのような疾患ですか?
前立腺肥大症は、50歳以上の男性に最も多い前立腺の疾患であり、前立腺が肥大しているが、がん化はしていない状態のことを指します。前立腺が肥大すると、尿道(膀胱から尿を出す管)を圧迫するため、特に夜間に頻繁に尿意を催したり、尿の出が悪くなったりするなどの症状が現れてきます。また、残尿感や尿意切迫感などに悩まられるという方も少なくありません。

東京北部病院で行われているWAVE治療(経尿道的水蒸気治療)について教えてください
前立腺肥大症は、薬物や手術により治療されます。手術治療に関しては、高周波電流を用いる切除術(経尿道的切除術:TURP)が一般的な術式でしたが、最近では水蒸気や特殊なレーザーを応用した、より低侵襲な治療法が可能になっています。
当院で行っているWAVE治療(Water Vapor Energy Therapy:経尿道的水蒸気治療)は、前立腺肥大症のための治療方法で、肥大した部分に水蒸気を注入し、水蒸気の熱を利用して前立腺を退縮させる低侵襲な治療方法です。
治療時間が10~15分と非常に短いので、高齢者の方に対しても負担が少なく、高い治療効果も得られる画期的な治療法です。2022年9月に従来手術より低侵襲なこのWAVE治療(経尿道的水蒸気前立腺肥大症治療)が保険適応され、日本では未だ限られた施設のみで行われる手術方法ではありますが、当院では対象となる患者さんに対しては積極的に行っております。

東京北部病院の特徴はありますか?
足立区は都内でも比較的高齢化率の高いエリアです。加えて、80代以上での一人暮らしの方が多くいらっしゃいます。前立腺肥大症の症状がありながらも、誰にも相談出来ずに尿閉状態や、腎不全、感染症になってから来院されるというケースも珍しありません。
特に高齢者の方は循環器内科や脳神経外科、糖尿病内科など複数の診療科にまたがって治療を受け、複数の薬を服用されていることが多い為、診療科同士・地域の医療機関同士の連携が重要となります。当院は、地域医療連携に力を入れていることに加え、多彩な診療科目、診療機器を兼ね備えておりますので、患者さんをトータル的に診ることが出来るという特徴があります。
前立腺肥大症の初期症状はどのよなものがありますか?
患者さんが感じる症状として最も多いものは、『夜間頻尿』です。前立腺が肥大することによって、尿の切れが悪くなり、就寝前にトイレに行ったとしても、夜間の尿意から頻繁に起きなければならないということが起こります。
また、トイレに行っても残尿感が消えない、尿の勢いが弱い。そのようなことに悩まれた場合は、医師に相談されてみてはいかがでしょうか。

インタビュー後記
多くの男性が悩まされるという前立腺肥大症に対して、低侵襲で手術時間も短いというWAVE治療。今回、井本先生にWAVE治療について教えていただき、その有用性を強く感じました。また、診療科間の連携も強く、新しい治療に対しても積極的に取り入れられている東京北部病院の存在は地域の方々の安心に強く繋がっていることを確信しました。
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