【健康コラムvol.8】「ぱく増し」
65歳からのたんぱく増し生活

社会医療法人慈生会等潤病院 理事長
伊藤雅史

「ぱく増し」をご存じですか。「ぱく増し」の「ぱく」はたんぱく質のぱくで、2年前から足立区が推進している高齢者向けの新たな健康キャンペーンです。高齢者には脂っこい食事やたんぱく質は必要ないなどの誤った考えに警鐘を鳴らしたものです。病気による注意はありますが、高齢者ではたんぱく質を意識的に「増し」て食べることを勧めています。
年齢と共に運動量は低下しますが、あまり使わなくなった筋肉は徐々に筋肉量が減ってきますので、運動能力も低下します。すると筋肉量がさらに低下するという悪循環となります。若い頃と比べてあまり体重が変わらない方は自己健康管理が素晴らしいと思いますが、筋肉量は減っていることが多く、程度の差はあっても同じような状態となっています。
そのような状況下では、運動どころか歩くこと自体がつらくおっくうになり、生活意欲が減退し、外出を避けて家にこもりがちとなってしまいます。このような状態はフレイル(心身の衰弱)と呼ばれ、筋肉量や運動能力の低下により、転びやすくなる、けがや骨折をしがちになるなど、生活の質が低下しますし、さらには生命にも影響が出てきます。現在、2040年問題が盛んに議論されていますが、病気以上にフレイル対策が課題になると言われています。
そこで「ぱく増し」、筋肉を増やし生活の質を改善していくには、毎食しっかりたんぱく質を取ることが必要になります。具体的には1日60g以上、毎食20g以上のたんぱく質を取ることが推奨されています。100gの食材にどれくらいのたんぱく質が含まれるかと言うと、肉類は約20g、魚類も同等かそれ以上、卵は約12g(Mサイズ1個では約6g)、木綿豆腐7g(一丁で20g以上)、牛乳3.3g(コップ1杯7g)です。
足立区のホームページには、ぱく増しレシピや料理動画など、おいしそうなメニューが紹介されていますので、ぜひ見てください。次回は、ぱく増し+運動の重要性を予定しています。

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15 いいね! ('25/04/06 06:00 時点)